桜、月夜、愛おもい。


凛桜はにっこり微笑んで、首を傾げた。

その姿がメチャメチャ可愛くて、私は真っ赤になって視線を凛桜から外す。


「あっ、ダメだよぉ」


外した視線は、凛桜の手によって戻された。

目の前の綺麗に整った顔が、ジッと私を見つめた。


そして微笑んだ。



「僕ねー。人間になっちゃったみたい」


「………みたいって…」



無邪気に笑う凛桜に、私は溜め息をつく。


目の前の(元)桜の精は、自分が人間になったことを何とも思っていないらしい。



「そうでもないよ?多分僕、明日にはいなくなるから」



そして明日にはいなくなるらしい。



って……



「は?」



< 98 / 163 >

この作品をシェア

pagetop