銀色幻夢
そのおばあちゃんに、食べ物を届けなくてはいけない。


……ここで、油を売っている場合じゃない。



すぐに服をかき集め、袖を通す。


立ち上がって見ると、昨日の足の痛みは嘘のように治っていた。



「……行くのか? 砂雪。」


目を覚ました白弥が、私を見て問う。


「ええ。私の祖母に、食べ物と薬を届けなくてはいけないから。」


そう返すと、彼の表情が曇った。


「―――、行くな。砂雪。もう、あそこにお前の祖母はいない。」


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