銀色幻夢

「なんだ……、あれ、銀のオオカミ………!?」


「言い伝えは、本当だったのか!?」



そんな人々の言葉も、耳に入らない。


思わず、白弥に駆け寄った。


鋭くも暖かい、その瞳に魅了されたように。



「――白弥…っ!!」


首に手を回し、白銀の毛に顔を埋めれば、湿った鼻が髪を弄ぶ。

分からなくて、悲しくて。


泣く事しかできない弱い私に、白弥は呟く。


「今は俺の傍に居ろ。後の事はそれからだ。」



私を背中に乗せると、後を追う村人を振り切り、走り出す。



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