銀色幻夢
「………普通の村人が知らない、掟があの村にはある。」


俯いたまま、ぽつりと白弥は言う。


「……よく聞け、砂雪。お前の村が都会から隔絶されている理由は、俺だ。」


「………!?」


いきなり、何を言い出すのか。


白弥が、何……?


「俺のように、稀に産まれる人型の狼に、人々は災いを恐れた。その災いを静める方法として、あの村の人間は勝手に生贄をよこすようになった。」


真剣な眼差し。


私はすくんだように動けない。


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