銀色幻夢

着流しにしがみついて、訴えかけて……


こんな事したって、どうにもならないのに。



ぎゅっと目を瞑ると、白弥は私の頭を押さえ、上を向かせる。


それに答えるように、私は目を開けると、近くに白弥の赤い目が。



「……信じるだの、そんなの何だっていい。お前が信じたいものを信じればいいし、やろうと思う事をすればいい。それでもまだ、不安が拭えないのなら………、俺を信じろ。お前は、俺が守り抜く。」


知らず知らずのうちにまた流れていた涙を、白弥の指が掬う。


ヒヤリと冷たいその指先は、掬う涙で濡れていく。



……ただただ感情をぶつけてしまう私に、その言葉は優しかった。


優しいけれど、余計に苦しいよ…


その優しさは、鏡みたいに私を写すんだ。





< 33 / 40 >

この作品をシェア

pagetop