花にアラシ
少女はいかにも不良が通っています、という風貌の落書きだらけな校門を通り、門近くに座り込んで談笑する生徒らからの視線をも一切無視し、校舎へ向かって歩く。
少女が一歩一歩進む度、1人、また1人と少女に視線を奪われる。
少女の姿が校舎へと完全に消えた瞬間、ほう、と一斉にため息をつく音がした。
「…ありゃあ、誰だ?」
「…さあ…?」
たむろしていた男達はもう一度少女の消えた校舎へと視線を向けて、またため息をついたのだった。