【BL】だいすきな青へ-Lost Memorys-



20XX年1月6日


昨日、万里弥ん家から帰って来たの夜中だから、さすがに舞香さんたち居なかった。

で、貴央に怒られると思ってたけど、次はちゃんと合ってねとしか言われなかった。

部活から帰って来たら美里出て行ったこと忘れてて、まじテンパった。

つか、まだ思い出せてない。

ただいまって言っても返事なくて、家中探してもどこにもいなくて。

買い物かと思ったけど、いつまで経っても帰ってこない。

ドアが開く音が聞こえてフラフラと玄関に向かう。

「美里……?」

でも立っていたのは親父だった。

「親父、どうしよ……美里いない。」

「美里は出てっただろ。」

「出てった……?」

なんで美里は出てったの?

なんで俺をおいて行くの?

なんで?を繰り返す俺に、親父は心底めんどくさそうな顔をした。

「お前は捨てられたんだよ。」

心臓がドクドクして、手足が震えてきた。

体中冷たくなってく感じ。

……俺、美里に捨てられたの?

ここからパニクって、あんま覚えてないんだけど。

とりあえず叫びながら暴れてた。

んで、そんな俺にキレた親父に怒鳴られ、揉めて殴られた。

気付いたら貴央になだめられてた。

俺の服に血付いてて、とうとう親父殺しちゃったのかと本気で思った。

どうやら自分で手首切ったからみたいだけど。

「俺、美里に捨てられてないよね……。」

貴央が小さい子に話すみたいにゆっくりとていねいに話してくれた。

そのおかげで思い出してはいないものの、両親が離婚して美里が出て行ったってことも納得できた。

「捨てられてないよ。絶対に迎えに来てくれる。」

でも、俺はめちゃくちゃ不安だった。

このまま美里が迎えにきてくれなかったら?

貴央が舞香さんと結婚して出て行ったら?

ぶっ壊れた親父なんてあてになんねぇ。

俺の帰る場所がなくなっちゃう。

それが一番怖いんだ。

だから貴央と舞香さんの関係を素直に祝えねぇのかな。

でも、独りは怖い。


こんな弟でごめんなさい。






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