すべり台〜あなたと過ごした20年〜
幸の部屋は、おもちゃ数個と布団が敷いてあるだけで、とても5歳の部屋だとは思えなかった。

「何して遊ぶ?」
私は聞いた。

「このお人形で遊ぶ。」

幸が取り出したのは、犬のぬいぐるみ。

「可愛い〜。」

「お母さんとお父さんが買ってくれた。」

「へ〜。優しいね。」

「そうかな…?」

そんな会話をしていると
「麻衣〜帰るよ〜。」とお母さんが呼びにきた。
幸の反応に疑問を持ったけど、聴かなかった。

今思うと聴かなく正解だったと思う。
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