DEBU専すくらんぶる
 会場がどよめいた!「今のは自爆じゃないのか!」「ただ転んだだけに見えたけど何かしたの!?」観客からあがったのはほとんどが戸惑いの声だった。
「ワン、ツー、スリー・・・」レフリーのカウントが始まる。
 「黒田?」
 心配して近づく竹中に、黒田はうつぶせのまま言葉を返した。
「竹中、俺はもうだめらしい。痛くて動けない。せめて、俺を倒した男がこの大会の覇者になることを祈るよ・・・」
 黒田はそのまま気を失った。テンカウント。レフリーが頭の上で両手を交差し試合終了を告げる。
 左手をレフリーに持ちあげられ竹中は勝者のコールを受けた。
(黒田、かならず俺が優勝するからな!)
 孤独な勝者は担架で運び出される強敵(とも)に心の中で誓うのだった。
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