DEBU専すくらんぶる
 レフリーのボディーチェックを受けながら対戦者を見る。小さな体に闘志がみなぎっている。あのプロレスマニアの黒田を指一本触れさせずに下した男だ、間違いなく強敵に違いない。
「カルマ、ついに俺達だけになっちまったな」
「ああ。でもこの先に進むのはこの俺だ。俺は小さい頃からお母さんに『お前は何になってもいい。だけどオカマにだけはなるな。でもなるなら一番になれ』って言われて育てられた。デブ好きの道でも一番になるのが親孝行ってもんだ」
「お前のお母さんも結構アレだな」
「アレって言うな!」
カッとなり竹中につかみかかろうとする俺をレフリーが止める。
「おおっと、明智選手がゴングを待たずして竹中選手に詰め寄ります!レフリーによって両者が引き離されます。さあ、試合開始です!」
 カーン!
 激しい歓声がリングを包み込んだ。
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