DEBU専すくらんぶる
「ただいまより最終試合を執り行います。赤コーナーより、173センチ体重は女性なので省略、本大会主催者、プリンセス オブ ザ ファッティー・西園寺キャサリン選手の入場です!」
 ベートーベンの第九が大音響で鳴り響く。花道の奥で煙幕がたかれ、太い人影が姿を現した。
 柔道着を着ている。帯は黒帯。大歓声の中ライトを受けた金髪が輝き、さながら御伽噺の人魚姫が大気を海としリングに向かって泳いでくるかのようだ。
 リングインしたキャサリンは俺のほうを一瞥し微笑む。余裕なのか、それとも自分に好意を寄せる男性を憎からず思い見せた笑顔なのか。
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