○○を想うと~special Fan book~
会ったことも見たこともない、桐谷慎
だけどぼくの顔を見ながら母さんはよく泣いてた。
よくわからないんだけど、ぼくとアイツはそっくりなんだって。
だからぼくの表情の一つ一つが懐かしくて、ぼくを見るたびあいつを思い出して、母さんはよく泣いてた。
そんなだから、ぼくはもっと桐谷慎がきらいになった。
だいすきなしゅーちゃんパパが本当のお父さんだったらよかったのに。
母さんを置いて逃げちゃうような、そんな弱虫、お父さんじゃない。
絶対に認めない
ぼくはコイツを絶対に認めない。
だから……
「いやだ!ぼく高宮仁じゃなきゃ、イヤだもん!!桐谷仁になんてなりたくない!!!いやだぁ~、びぇぇぇぇぇぇ~~!!!」
大声で泣き叫んで、必死に母さんに訴えると
「あ~、やだやだ。
往生際の悪い男は。」
目の前の悪魔はハァ~とため息吐きながら、バカにしたようにそう呟く。