○○を想うと~special Fan book~
さっきとはうって変わった
まるで本当のお父さんのように温かな笑顔
その笑顔を見せながら
「仁、オマエが俺より藤堂のコトを好きでも構わない。」
「え??」
「大事な時に側にいてやれなかった俺よりも、ずーっと近くにいてくれた藤堂のほうを好きなのは当たり前だ。」
そう言って
桐谷慎はぼくの頭をヨシヨシとなでる。
しゅーちゃんパパとは少しちがう、骨ばった細い指
冷たくてひんやりした手がぼくの頭をよしよしとなでる。
――なんだ、コイツ。
イジワルなくせに急に優しくなるから調子が狂う。
ぎしんあんきになりながら、涙をぐぐっとぬぐうと
「でも…俺はオマエが好きだよ、仁。」
そう言って
桐谷慎は優しい顔して、ぼくの頬にそうっと手を置いた。