『女子中物語』 ダークネス
そこには、竜野先生がいままで知ることのなかった、妹さんの本当の気持ちがつづられていました。十年前に聞けずにいた、竜野先生に向けられたエリさんのメッセージがそこにはありました。


「そうね 思春期の少女たちには数多くの悩みがある……

人から見ればくだらないことでも

本人にとっては世界の一大事なの

きっと妹さんも同じだったと思うわ

教師のあなたがやらなければならないことは

過去を悔やんで自分を責め続けることではなく

同じように悩んでいる生徒たちの声に

耳を傾けることではないかしら

松本先生が、あなたにそうしているように」

「いや、ベテランにはかないませんな」

松本先生はそうこたえると、竜野先生に向かって言います。


「で、竜野……
オレはまだ 肝心の答えを聞いてないぞ」

竜野先生は原稿用紙を机におくと、また重く沈んだ顔をしました。


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