『女子中物語』 ダークネス
「なんだなんだうるせーな」

そこに、自由研究部の顧問である松本先生が入ってきました。
事情を聞くと松本先生が言いました。


「ああ、ほんとうだよ。
十年前のここらの学生ならみんな知ってた」


「ほら」とカズミさんはリオさんに言いましたが、
彼女は上の空です。

「あいつはヤンキーというより
この唐津にギャングという概念を持ち込んだ人間でな
オリジネーターにして最強というのが
当時のふれこみだった」

「ギャングスタ?」

「ここに赴任して驚いたよ
”ハンドテクニクス”のボスが
教師やってたんだからな」

「イェー、ギャングスタキタコレ!」


カズミさんとアオイさんは
きゃっきゃと盛り上がっていましたが、
リオさんはさみしい表情をしました。
リオさんは、竜野先生のことが
好きだったんです。


松本先生の話を聞いても
その気持ちにかわりはありませんが、
それでもなにか、
こころにくらい影が落ちたようでした。
< 5 / 114 >

この作品をシェア

pagetop