『女子中物語』 ダークネス
影は、100メートルを駆け抜けると、しばらく何かを考え込むようにそこにとどまります。そしてスタート地点に戻って、再び100メートルを駆けるのです。

(でも、ミサキ先輩の気持ちも、わからんでもないすね)

(わたしもどっちかっつーと、ひとりで好きなことに没頭したい方だし、うはw自分きめぇ、でも好きw みたいな感じ……先生も、そうなんじゃないんすか?)

いつの間にか、もう影すら見えなくなっていました。

先生はグラウンドに降りると、何度目かの100メートルを完走したミサキさんの背中に語りかけます。

「いつもひとりで走ってんのか?」

ミサキさんが振り返りました。

ショートカットの髪は少しだけ乱れ、頬は赤く染まっている。
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