『女子中物語』 ダークネス
こいつは

いつもひとりで

こうやって 走っているんだな

なんども なんども ……


「走るの 好きなんだな」

ミサキさんはスポーツバッグを肩に掛け、松本先生の横を通り過ぎます。

「さよなら」

小さな声は、ようやく先生の耳に届きました。

昼の喧噪の中ではかき消されてしまう、細く、繊細な声でした。


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