Bitter Sweet Kiss

そっ。意味不明だよ、まったく。


ガキの頃。

片親だとか愛人の子供だとか、くだらない悪口を言われたり、体育の授業を見学ばっかしてたせいで、いわゆるイジメっつーもんに苦悩した時期があった。

ほんの短い期間だったけどさ。
だってオレ、あとからコケにしてくれた連中をたんまり見返してやったし。いろんな方法でね。

それでもその短期間は、好ましくない感情に押しつぶされそうになってたんだ。

そんな時に決まってキョウコちゃんが与えてくれたオアシス。

本当はアレルギーがあるから食べたらダメって言われてたんだけど、ひと欠片だけならって赤い包み紙を開けてくれたんだ。

たったのひと欠片を惜しむように噛まずにゆっくりと口の中で溶かしていく。

あの甘さに触れると、不思議と心のバランスまで取り戻していった。

いまでもにおいを嗅いだだけで、救われた気分になるのは確かな話。