Bitter Sweet Kiss
でもさ。

彼女は戸惑いながらこう返してきたんだ。

「あ。やっぱり」

って。そう言ってフワって笑った。

なんだこの反応、この笑顔。
予想外なんだけど。


「この間も眠ってしまう前に言ってましたよね。あの日チョコレートブラウニーを作ったんです、わたし。だから、チョコのにおいが残ってたのかなぁ?
そうですかぁ。ミルクチョコにはそんなステキな思い出があったんですね」


ステキな思い出 ――?

さっき、近づいた距離に頬を染めたくせに。
男慣れしてなくて、首から下もきっと真っ赤だったくせに。

なのに。

そんなふうに微笑まれて調子がくるう。
ホント、ヘンな子。
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