Bitter Sweet Kiss

―side Mito

[side Mito]




カーテンを開け外の様子を眺めた。

午後から振りだした雨が、ベランダに出しっぱなしだったサンダルを濡らしている。


「今日は一日晴れるって言ってたのにね」


お皿の上のカレーライスの山をスプーンで崩しながら、ヤマトが言ってきた。


「この分じゃやみそうにないね。駅までお母さんを迎えに行ってくるけど、ヤマト、留守番できる?」

「できるよ。ネーチャン、オレもう小6だよ」


プッて吹きだすヤマト。


「そうね。でも誰か訪ねてきても絶対に鍵を開けちゃダメよ」

「わかってるって。ネーチャンこそ気をつけなよ」


着ていたTシャツの上にパーカーを羽織ったわたしは、玄関の傘立てから2本の傘を手に取り外へ飛びだした。
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