Bitter Sweet Kiss
家から歩いて15分の駅の少し手前、イチゴ畑に挟まれた小道を歩く。
近くにある保育園の子供たちにイチゴ狩りをさせるため、年老いたおじいさんが今でも作り続けているんだって、お母さんが言ってた。
わたしもかつてそこの園児だったの。
そして毎週日曜日には、よくここへ来ていた。
お母さんが仕事でいないとき、ヤマトが生まれて子育てで忙しそうなときに。
幼いときから人見知りが激しかったわたしだけど。なぜか、ここのおじいちゃんにはよく懐いていたらしい。
お茶入りの水筒を下げて、一日ここにいたこともあったな。
「なつかしいなぁ」
その場にしゃがんで、雨に濡れた葉っぱに手を伸ばした。