Bitter Sweet Kiss
サユミちゃんに貸してもらった洋服はスカートの丈が短かすぎて、さっきから気になって仕様がないし。初めてのメイクも、あんまりいい気分がしなかった。

カイ君もこの中にいるのかな ――?

そう思うと、胸の中に言い知れない感情が生まれていく。

わたしには異空間のようなこの場所が、カイ君にはそうじゃないんだよね。

やっぱり遠いのかな。
わたしなんかが好きになるような人じゃなかったのかな……。

そんな思いに、もっと心細くなる。


(ダイ君、遅いな……)

彼が歩いていった方向に顔を向けた。

そのとき。
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