Bitter Sweet Kiss
どんどん前を行くユウちゃんの横に並ぶことは、なんとなくためらいを感じて。だからそのまま彼女の後ろを歩いた。

ちょっと怒ってるようにも見えたユウちゃん。

朝からずっと感じてた。今日のユウちゃんはなんだか違うなって。

サユミちゃんはなんにも言ってなかったけど、でもいつもと違う。
明るく笑ってばかりいる、いつものユウちゃんじゃない……そう思ってた。

廊下のつきあたりを曲がった場所。

普段はほとんど使わない、北階段の踊り場まで来たところで足を止めた。


「ユウちゃん……?」


おそるおそる尋ねてみる。

そしたら、くるっとこっちを向いた彼女にいつにない真剣な眼差しで真っ直ぐに見つめられ、そして一言こう言われたんだ。


「土曜日、カイ君と消えたって本当?」
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