Bitter Sweet Kiss
「ニーチャン、またサッカー教えてくれる?」

「おう。リョーカイだ」

「じゃあ、またね」


ぶんぶんと手を振りながら駆けて行くヤマト。


「ホント素直だっていうか、真っ白だな」


そしていつの間にか、爽快感みたいなものを味わってる自分にも驚く。
病院での一件のせいで、気分はすっかり濁りきってたんだけどね。


「アイツのおかげかな」


サッカー場へ来たのは、前にここで同じように“癒し”をもらったから。あの娘に会えるかなって、ちょっとね。

別に会いたい、なんて思ったわけじゃない。そんなわけないでしょ? だってこのオレがあんなウブな子に。

だけど、あの夜のことが気になってたのも確かだった。
< 181 / 351 >

この作品をシェア

pagetop