Bitter Sweet Kiss
「ところでさ、その手に持ってんのってなに?」


彼女の右手を指さした。


「え。
あっ ミントです」

「……ミト?」

「いえ。ミントの葉です、じゃなかった……ミント、なの」


敬語を指摘したせいか言い換えてんのも、ちょっと可愛い。


「いい香りがするから」

「ふーん」


言いながらオレは彼女の手もとへ顔を近づけた。微かにだけどスーッとするようなにおいがする。

そして顔をあげると、さっきより頬を赤く染めた彼女と目が合って。桃色の首すじに思わずカプってしたくなる。

そういう対象になる相手じゃないって思ってたくせに、本能ってのはわかんない。
自分で自分の男の本性ってやつに苦笑しちまう。
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