Bitter Sweet Kiss
そして着いた場所は、いわゆる高級マンション。
地下駐車場へ車を停め、エレベーターに乗る。
車の中では緊張しすぎて運転するカイ君が話をしてるのに、全然耳に入らなかった。
どこへ向かっているのかも、この建物がどこなのかもわからない。ただ言われるまま車を降りて彼の後ろをついてきたの。
「ミトってさ」
不意に放たれた言葉に体が反応する。
また呼び捨てにされた、それだけでドキドキしちゃう。
「ミトって警戒心のカタマリみたいなのに、でも案外ガードゆるくない?」
「……ガード?」
聞き返すとカイ君は、クスッと笑い声をもらした。
「だって、こんな簡単についてきちゃって、これから向かってる場所がヤバいとこだったらどうすんの?」