Bitter Sweet Kiss
薬局を出て、真向かいの病院の駐車場へ向かう。

車まであと2、3メートル? ってとこでキーレスのリモコンを構えたとき

「ナルセくん?」

甘ったるい声に呼びとめられた。


一瞬さっきの受付嬢かと思ったけど。声が違うかなとか考えつつ確認すると……やっぱ別人。

って、ダレ?

ニコッと笑うその顔をジーっと凝視してみる。


「私服だからわかんないかな?」


わざとらしく小首を傾げたその仕草、ピンときた。


「あっ リョーカイ。看護師さんだ。
えっと……瀬戸川さん、だっけ?」


名前を覚えていたことがうれしかったのか、瀬戸川ならぬ(オレん中では)“エロ川”が、ニマーっと笑った。
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