Bitter Sweet Kiss

ドキドキしながら階段を上っていた。

隣を歩くサユミちゃんがずっとカイ君のことを訊いてくるけど、曖昧な返事を繰り返すことしかできない。

ユウちゃんは、もう教室にいるかな?……って、そのことのほうが気になっていたから。

バレー部の彼女は朝練があるから登校時間も早い。

カイ君に会ったこと、できればユウちゃんには知られたくない。
だからサユミちゃんには言わないでほしかった。

そんなことを考えて自分の気持ちを隠してるわたしって、相当ズルいんだ。

大切な友達なのにウソをついて……そうだよ、とても悪いことだってわかってる。
わかってるくせに恐いから避けたいんだ。

ユウちゃんとはいまのまま仲良くしてたい。
だから守ろうとしてるの。

ユウちゃんとの関係も、カイ君への気持ちも。
< 215 / 351 >

この作品をシェア

pagetop