Bitter Sweet Kiss
ドキドキしながら階段を上っていた。
隣を歩くサユミちゃんがずっとカイ君のことを訊いてくるけど、曖昧な返事を繰り返すことしかできない。
ユウちゃんは、もう教室にいるかな?……って、そのことのほうが気になっていたから。
バレー部の彼女は朝練があるから登校時間も早い。
カイ君に会ったこと、できればユウちゃんには知られたくない。
だからサユミちゃんには言わないでほしかった。
そんなことを考えて自分の気持ちを隠してるわたしって、相当ズルいんだ。
大切な友達なのにウソをついて……そうだよ、とても悪いことだってわかってる。
わかってるくせに恐いから避けたいんだ。
ユウちゃんとはいまのまま仲良くしてたい。
だから守ろうとしてるの。
ユウちゃんとの関係も、カイ君への気持ちも。