Bitter Sweet Kiss
「あたしのマンション、ナルセくんちと結構近いんだよね」


って住所までチェック済みっすか?
でも患者の個人情報でしょ。それっていけないことじゃないの?


「それでね ――」


エロ川が次のセリフを吐きかけたとこで、オレは慌てて遮った。


「ごめんね? ちょっといま急いでて、オレ帰んなきゃ」


遠慮がち風を装って運転席のドアを開けると、ほんの一瞬だけ顔を歪めた彼女は、仮面のような笑顔をはりつけて「気をつけてね」って言った。




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