Bitter Sweet Kiss
「前にミルクチョコの話をしたよね?」

そう言って、助手席に座るわたしのことを見たカイ君。


「お母さんとの思い出でしょ?」

訊き返すと

「それがさ、違ったんだよね」

ってまた前に向き直った。


さっきは苦笑って感じではいたけど笑っていたのに、その時の彼は見たこともない切なげな顔をしていて。だから、言い知れない気持ちにさせられたの。

そして淡々と話す横顔は哀しそうにも見えたんだ。
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