Bitter Sweet Kiss
「あれさ、オレの思い違いだった。キョウコちゃんじゃなかったんだ。
イヤなことがあるたびオレに一欠片のチョコをくれてたのは……ずっと憎んでたアイツだったんだ」

「……」

「なんで今まで忘れていたんだろうって不思議に思ったんだけど。忘れてたんじゃなくて、オレが勝手に自分の中で作り上げてただけなんだ、きっと。
こんな目に合うのは全部アイツのせいだって悲劇ぶりたくて、白い思い出も真っ黒に塗りつぶしてただけ。

そしたらさ急にここが苦しくなって。息がうまくできなくなって……気がついたらミトに、電話してた」


そこまで一気に話した彼はもう笑うことはなく。
その隣でわたしは、膝の上に置いた手をギュッとかたく結んだ。
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