Bitter Sweet Kiss
「おかえりなさい」
出迎えてくれたキョウコちゃんの笑顔は、いつもと変わらないようで、でも違うようにも感じる。ほんのちょっとぎこちなく見える。
いや、ぎこちないのはオレのほうかな?
あの夜から、なんとなく避けているんだ。望月の話題に触れることから。
「カイちゃん、あのね」
自室に入ろうとしたオレにキョウコちゃんが声をかけた。
背中で感じる空気で、なんの話をされるのか解することができた。
「着替えてからでいい?」
「え」
「話があるんでしょ?」
「あっ うん。じゃあ、お茶淹れて待ってるね」
本当は着替えなんてする必要ないんだ。ちょっとワンブレイク欲しかっただけ。