Bitter Sweet Kiss
「ねぇ お母さん、カイ君ってなんの病気 ――」

「成瀬君はやめておきなさい」

「え」

「彼だけはやめておきなさい、って言ったの。
ミトも高校生になったんだから、そのうち好きな人の一人もできるかもしれないって思ってる。でもね、彼と付き合うのだけはダメ」

「どうして?」

「言ったでしょ? お母さんは成瀬君が入院してたとき担当してたの……だから知ってるの」


知ってるってなにを?

訊き返そうしたけれど、お母さんが続けた言葉のほうが早かった。


「母親として、娘のために言ってるの」
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