Bitter Sweet Kiss
「いい加減さをオマエから取ったら面白味がなくなるだろーが」


そう言って灰皿にタバコを押しつけたリョウさん。


「歩いてく方向も決めてないのに決断だけして、それが甘ったれなんじゃないのか?」


不意に言われた言葉に、情けなくも黙りこんでしまった。


「まっ そんな顔すんなって。働き口が欲しいならいつでも言ってくれよ。あてがないわけでもないから。
さて、そろそろ戻んねーとな。
なにを悩んでるか知らねーけど若いうちは大いに脳ミソ使っとけ」


オレの頭を乱暴に撫でつけ、立ちあがりポケットに手をつっこんだ。

そして「女か?」って茶化すから「まさか」って答えると、「だろうな」って笑って一階へと降りていった。
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