Bitter Sweet Kiss
「でもそれは違うよね。
人を好きになって誰かに気をつかうことなんてない。友達だから、っていうのはただイイ子ぶってるだけ。自分にも他人にも素直になってないのよ」


いつもは、おっとりとした口調のサユミちゃんが、こんなふうに熱弁するのは初めてのことだった。

イイ子ぶってるだけ、か……そうだよね。

ユウちゃんに気持ちを先に言われて、それで言いだしずらくなったって思っていたけど。気をつかってるつもりで、わたしは自分を守っていただけなのかな。


「でもねミト?」


さっきまでとは違い、いつものサユミちゃんらしいトーンで話しかけられる。


「遠慮して素直じゃなかったミトは悪いと思う。でもね、3人でいられなくなったのはミト1人のせいじゃないから。それはサユも含めて3人の問題よ」


そう言われて隣の彼女を見た。
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