Bitter Sweet Kiss
「遠山くんは、大丈夫?」


2人っきりの化学室。
そっと尋ねたわたしを不思議がるように、彼は顔を上げ口を開いた。


「なにが?」

「だって……みんながいろんなこと言ってるから」


すると彼は、小さなため息を漏らしてからこう言ったの。


「藤沢って、お人好しだな」

「え?」

「だってオレが悪く言われるのは当然でしょ。あんなことをした犯人なんだから」


吐き捨てるように言って薄く笑う。

それはやっぱりあの遠山くんらしくない、クラスの役も嫌がらずにやって、いつも友達に囲まれてて、誰とでもわけ隔てなく接していた彼とは違って見えた。

まるで別人みたい……。
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