Bitter Sweet Kiss


講義室へ入ったオレは、見慣れた2つの背中を見つけて近づいた。

肩にかけていたカバンを横長の机にドサッと置くと、気づいたヤツらがこっちを見た。


「ナル、またサオリに探されてたよ」

「うん。聞いた」


この短髪・メガネの男はダイチ。
呼び名はダイ。


「政経のレナにも訊かれたぞ『カイはまだか』って」

「マジで?」


長めの後ろ髪を触りながら言ったのは、カズト。

2人とも同じ社会学部の2年。
< 29 / 351 >

この作品をシェア

pagetop