Bitter Sweet Kiss
講義室へ入ったオレは、見慣れた2つの背中を見つけて近づいた。
肩にかけていたカバンを横長の机にドサッと置くと、気づいたヤツらがこっちを見た。
「ナル、またサオリに探されてたよ」
「うん。聞いた」
この短髪・メガネの男はダイチ。
呼び名はダイ。
「政経のレナにも訊かれたぞ『カイはまだか』って」
「マジで?」
長めの後ろ髪を触りながら言ったのは、カズト。
2人とも同じ社会学部の2年。