Bitter Sweet Kiss
遠山くんは、4つ年上のオネーサンがいることを教えてくれた。

そのオネーサンが高校生だったときに、ひどい失恋をしたんだと言った。


「好きだとか付きあおうとか軽はずみに言うけど、アイツの言うことは全部ウソ。その場凌ぎのデタラメなんだよ。ちょっと遊んだらポイ捨てする、そういう男なんだ」


2年前。遠山くんのオネーサンは、ずっと片思いをしていた相手に告白をした。

『好き』なことを伝えたら相手の男(ひと)も『好き』だと返してきた。
そしてそのまま2人は付きあいだして、その日のうちに結ばれた。

だけど付きあってるって思っていたのはオネーサンのほうだけ。相手はそんなふうに理解していたかったらしい。

デートらしいデートもなく、そういう関係だけが続いても、彼のことを好きなオネーサンは流されるままだった。


「だけどこのままじゃいけないって思って、あるとき問い詰めたらしいんだ。そしたらアイツはネーチャンに言ったんだ。『好き、とは言ったかもしれないけど、付きあってなんて言った覚えはないよ』って」
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