Bitter Sweet Kiss
始業のベルが鳴る。


「とにかく、もてあそばれて捨てられる前に目を覚ましたほうがいい。それだけは忠告しておくから」


遠山君はそう言い残して出ていった。


せっかく好きになったんだから、この想いを伝えたい。

勇気を持ってサユミちゃんに打ち明けたあとで、カイ君にも告白しようって決めたところだった。

遠山君から聞かされた話のせいで、その決意が揺らいだわけじゃない。だけど、ちょっと混乱はしていたの。

気にしないようになっていた、あのクラブでのキスシーンまでもまた蘇ってきて、わたしがされたキスと重なる。

信じたい ――だけど……

恋の免疫がないわたしには、かなり苦い思いだった。


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