Bitter Sweet Kiss
その夜のことだった。
「ネーチャン、電話ー!」
キッチンで洗い物をしてるわたしのところへ、ヤマトが子機を持ってきた。
泡のついた手を急いで洗う。
携帯ではなく自宅にかけてくるなんて誰だろう?
首を傾げながら応対したわたしに相手は言ったの。
「面白いものを見せてあげるから来なよ」って。
告げられた住所までタクシーを飛ばし、その先でわたしが目にしたのは ――
生まれて初めて経験した恋の味。
それは、ただ甘いだけのものじゃなかった。
ほろ苦く、そして時折辛さを効かせた……
好きだから知りたいと願った。
だけど、こんな痛みも伴うなんて思いもしなかったんだ。