Bitter Sweet Kiss
胸を押さえながら駐車場へ向かうオレに、誰かが声をかけた。


「カイ君じゃない?」

艶っぽい声に振り返る。

「ナツミさん」


偶然に出くわした彼女は相変わらずキレイで、上品でしっとりとした色香を振りまいていた。


「出勤ですか?」

尋ねてすぐにゴホゴホと咳きこんでしまった。

「今日は休みなの。でもどうしたの?」


カゼでもひいた? って言いながら、オレの肩にさりげなく手を添える彼女。

大人の女を感じさせる香水の香り。
色っぽい唇。
ジュエルが施されたネイル。

だけど今日のオレはどうかしてんのかな?

そのどれにも惹かれることもなく、違和感さえ感じているんだから。
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