Bitter Sweet Kiss

クラブ帰りで、しかも家出中。

最初から予定に入っていたんなら、こんな格好してこなかったのに。

ラフすぎるオレの服装を見たGarcon(ギャルソン)が眉をしかめたけど、そこはナツミさんが対応してくれた。


テーブルに用意されていたのはグラスやナプキンだけじゃなく、キャンドルにバラの一輪挿し。

あらかじめテーブルセットされていたその光景を見て、誰かと来るはずだったことがわかる。

こんな店をリザーブできるなんて、そこそこ社会的に地位のある人間だろう。

でも何かしらのワケがあってドタキャンした。

そのワケが仕事のためか家庭のためかなんて知らないけど、キャンドルを見つめるナツミさんの瞳が曇っていたのは事実。
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