Bitter Sweet Kiss
キレイな女性が寂しそうにしているのを見過ごすなんてのは、胸が痛む。

だからディナーを済ませる、その僅かな時間しか一緒にいられないけど。それでも1人でいるよりマシだというんなら、彼女の前に笑って座っているくらい容易い御用だ。

食いたくもない高級料理を胃の中に押しこんで、吐きだしそうになるのをこらえた。


「カイ君、なんだか雰囲気変わったみたい」

そう言った彼女。


ずっと家に戻っていないオレは、シャワーを浴びたあとの髪は洗いっぱなし。整えたりはしていない。

大学もさぼったまま、デートもしてないから別に不都合もなくてさ。


「でも、そんなカイ君もとってもカワイイわ」

微笑まれて苦笑した。
< 301 / 351 >

この作品をシェア

pagetop