Bitter Sweet Kiss
「大丈夫?」


キャンドルの灯りの向こうの彼女が、バッグの中を探っている。

間もなく何かを取りだしてオレの前に差しだした。

これは薬か、それともサプリ?

まさか……ヤバイもんじゃないよね?

フザケ気味に尋ねようとしたけど声が出なくて。


「楽になるわよ」

長いつめ先が伸びてきて、水と一緒に口の中へ押しこめられた。


オレの意志を無視してゴクリと鳴った喉もとを過ぎ、胃の中へ何かが流れていく。


咽そうになったオレに

「ちゃんと飲みこむのよ」

そう言ったナツミさんの瞳は、なぜか冷たく見えた。
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