Bitter Sweet Kiss
深い眠りから頭を擡げ、ゆっくりと瞼を開く。
清潔さを強調するように白一色で統一された、無機質な部屋。
前にも入院したことがあるけど、あの病院の病室はもっと小さくて、もっと簡素なものだった。
尋ねなくてもわかったんだ。ここはずっと俺が来ることを拒んでいた場所だよね。
「カイちゃん、目が覚めた?」
傍らに座っていたキョウコちゃんがやわらかく笑う。
「うん……痛っ」
体を起こそうとしたら腹の辺りに小さな痛みが走った。
「昨夜、ずい分と嘔吐したようだから腹筋が痛むんじゃないかしら」
さらりと言ったキョウコちゃん。なんだかいつもと違う。