Bitter Sweet Kiss
「家へ戻ったら2人に話があるんだ」


それだけ言ってオレはベッドに横になった。

別に眠りたいわけじゃなかった。もう寝れそうにもなかったし。

ただ目を閉じて深く息を吐きだした。



初恋は実らない。

なんて、誰がそんなことを言ったんだろう。

遠く幼かったあの日。はにかみながらイチゴをくれた少女は、少しだけ大人になってオレの前に現れた。

小さくて頼りなげ。
でも、どこか温かくて包んでくれる。
そして時々、凛とした瞳を見せる。

心の底から湧きあがる想い。

愛しくて触れたくて手を伸ばした。

だけど彼女は受け取らずに、オレのもとから去っていった。
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