Bitter Sweet Kiss
[side Mito]




「あー、どうしよ」


玄関へ入りドアを閉めたわたしはつぶやいた。

靴を脱ぎ、階段の1段目へ足をかけたところへ、バタバタと足音をさせ駆けよってくる姿。


「ネーチャン、腹へったぁ~」


眉をへの字にした情けない顔でいつものセリフを口にしたのは、弟の大和(ヤマト)。


「キッチンの戸棚の中にオヤツがあるでしょ?」

「ポテチのこと? そんなの、とっくの間に食っちゃったよ」


小6のヤマトは育ち盛りのせいか、いつでもお腹が減っている。ホントにいつでも。

もっとずっと小さい頃からそうだった。

わたしの顔を見ると『腹へったー』を口にする。
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