Bitter Sweet Kiss
「言い忘れてたことがあるの」


ふいに真面目になった表情。


オレは黙って頷いて、その続きを静かに待った。

そして、花びらのような唇から零れ落ちるように放たれた言葉に、素直に微笑んだんだ。


突然吹いてきた強い風が、前より長くなった彼女の髪を泳がせて、そっとオレはその肩に手を伸ばした。



初恋は実らない。

なんて誰が言ったんだよ? そんなこと。


“迷信”とまでは言わないけどさ、でも言ってやるよ。

“例外”っつーもんだって、あるんだってことをさ。

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