Bitter Sweet Kiss
だけど。
ヤマトが残した一欠けらのホットケーキに手を伸ばしたとき

「そうだ! ネーチャン、オレ今度の土曜、山本んちに泊まりに行くんだ」

とヤマトが言った。


「え。山本君って同じクラスの?」

「うん。お母さんに話したら、いいって」

「そっか……」


ってことは……断る口実がなくなっちゃった。

どうしよー。

……でもね、次の瞬間いけない考えが頭をよぎったの。

ヤマトが友達の家へ遊びに行く。というのは知らないことにして、弟がいるからって断ろうかって ――

でも、でも。

ダメだよ。
そんなのいけないよ。友達にウソをつこうだなんて。

そんなことをしては絶対ダメ。


< 41 / 351 >

この作品をシェア

pagetop