Bitter Sweet Kiss
若いお母さんに抱かれた赤ちゃんの顔をのぞきこんだ彼。

無邪気にニコッと笑いかけると、不思議と赤ちゃんは泣きやんだんだ。


そして、そのお母さんに

「かわいいですね」

って言ったときの子供みたいな笑顔。


そんな様子を見ていたわたしの胸がキューって狭まるように、もっともっとさっきより強く苦しくなって……

―― そしたら、鐘が鳴ったの。

リンゴーンって繰り返し心の中で鳴り響いた、その音。

とっても不思議な感覚だった。

彼以外のものは見えなくて、他の景色は全部真っ白になったみたいに。

鳴りやまぬ鐘の音を聴きながら、胸のドキドキは増していった。
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